昇り降りの日々

学務様が見てる

体験に基づいた巨大な感情の溢れた文字の羅列

文字の羅列に心臓を殴られた感覚がして眠れない。

『人ひとりの人生ではありえないほどのこと』、そんなものがこの世界には存在する。

どれだけ「ひとり」の人間がもがいても絶対に届くことのない、果てしなく大きな何か。

それに触れてしまった人間の中にとどまることができず溢れだした沢山の感情が文字になって僕のなかに流れ込んでくる。

想像ではなく、実際にそれに触れたことがある人間にしか見えない景色、温度、感情。

今の僕には絶対に手に入らないもの。

僕がずっと欲しいと思っているもの、それは何かに真剣に向き合い続けた結果得られるものだ。

それを忠実にやり続けた、彼女たちの勝利だ。

僕たちは 人一人が抱えられないくらいの感情が溢れた文字を、一時の感動の道具として消費するしかないのだ。

それが「人ひとりの人生」にスケーリングされた限界だから。

たった1時間心を殴り続けて、僕の中には定着できずに流れていく。

それが僕の限界なのだ。

 

眠ってしまうとこの感情が消えてしまいそうで怖い。

きっと明日の僕はこんな感情があったことも忘れて、だらだらと日々を浪費して生きていってしまう、その未来が何よりも恐ろしい。


僕はあと、どれくらい生きられるんだろう。
どうか、どうか行かないで、きっとその世界に追い付きたい、その体験で、僕を殴り続けてくれ、どうか、どうかまだ僕の近くにいてくれ、でも誰よりも早く遠ざかってくれ。