精製された真っ白な砂糖を、毎日小指に少し取って味わっている。
その味は混じりけの無い「甘さ」そのものだ。
だからこそ他の物と混じりあい、新しい味を生む。
でも僕はそうしない。
ただ甘いだけのそれを、毎日毎日、少しずつ少しずつ消費するだけだ。
足りなくなったら金でそれを手に入れて、また少しずつ消費する。
商業の無い世の中には、精製された甘さはきっと存在しない。
ただそこに人と人がいるだけの世界では、真っ白なそれに苦汁だって辛酸だってまじる。
とても短い時間スケールを取るなら、精製された甘さに近いものを味わえるかもしれないけど、生憎人間は過去を振り返ることのできる記憶能力があるので、大体それよりも十分長い時間スケールをとる。
僕は、愛のうわずみだけを掬って出来たそれだけを意図的に摂取している。
けどその底には、黒く淀んだ泥のようなものが溜まっている。
「人」と向き合うなら、その上澄みも底の泥も飲み干す覚悟がいる。
残念だけど、今の僕にはその覚悟がない。
泥でさえも精製されたものを用意して、たまに怖いもの見たさに口に含んで吐き出す。
そろそろ瓶が空になってきた、また買いにいかなきゃ。