昇り降りの日々

学務様が見てる

平らな気持ち

震えたい。街の真ん中で大声で泣き叫んでしまうような、激しい情動に支配されたい。

激しく僕の心を揺さぶる何かを、感情を借りたい。

音楽じゃ足りない、文字じゃ足りない、絵じゃ足りない、もっと自らの心臓を激しくかきむしるような、そんな気持ちに駆られたい。

ここ最近何をしても心が激しく震えない。

それはつまり健康であるということで、そして痛みに慣れたということだ。

もっと孤独であるべきなのか、全てを絶って何もない世界で発狂すればこのモヤモヤはなくなるのか。

もっと揺さぶられたい。そのうち僕は少しずつ脳を締め上げる快楽に身を任せてしまう。目の前が少しクラクラとして、やがて世界が渦を巻く。

ベッドの上で僕にまたがりながら、君は僕の首に手をかける。

少しずつその手にかかる重さに、華奢な体にもしっかりとした重さがあることに気づく。

苦しい、その感覚が気持ちいい。

その先に行こうとすると全てが消えて、世界が真っ直ぐに揃う。

もう一歩、進む勇気があれば僕はもっと激しい感情を得られるはずなのに、理性が社会規範に支配される僕の生活とそれを天秤にかけて、恐怖が前者をかさ増しする。

全てを捨てて無敵になりたい、それも人生が行き詰まったときにとっておくべきなのだろうか。

仮にもう一歩踏み込んだとしても僕の欲しいものは得られなくて、リスクだけがそこに残るかもしれない。

怖い、怖い、でも揺さぶられたい、でも怖い。

自分の体を維持するのに金がかかる。

だから僕はこれ以上のリスクをとれない。