昇り降りの日々

学務様が見てる

想定通りの想定外

こんにちは、高校生の僕。卒業パーティーは楽しめましたか?彼女は大事にしていますか?卒業おめでとう。僕は4年後の君です。僕は無事に留年もすることなく、ストレートで卒業を決めました。でも卒業するまでにちょっとだけ苦労することを伝えておきます。まあ、僕が悪いんだけどね。僕は今、論文を読むことを諦めてお酒を飲んで暖かい布団の中で音楽を聞いています。最近またUNISON SQUARE GARDENにはまっています。オリオンをなぞってた彼らです。多分CIDER ROADというアルバムは発売されてるはずなので聴いてみてください。「シャンデリア・ワルツ」という曲がお気に入りです。

 

さて、君は無事に志望校に合格して、未だ見ぬ物理(もしくはアカデミア)の世界への憧れを抱いていることでしょう。意外かもしれませんが、僕は今物性系の研究室にいます。今の君は素粒子が世界の全てだと思っているかもしれないけど、思いの外物性も面白いんですよ。学生生活も、想像していたものとは違うけど、それなりに充実しています。相も変わらず先輩には恵まれています。少ないけれど、大切だと思える友達もいます。今振り返ると4年間は想像以上にあっという間で、何もかもが新しかった高校時代とはちょっと違ったなぁ、と感じています。あと、これだけは言っておかなければならないのですが、君はまたオタクに戻り、ついにアイドルを追いかけ始めます。詳しくは述べませんが、そういう運命なのです。談話室でごっちくんがアニメを見始めます。それが終わりの始まりです。

 

閑話休題。本題に入ります。僕がこの手紙を書いているのは、君に未来を伝えたいから、というわけではないのです。単刀直入に言うと、僕は悩んでいます。君は全校生徒の前で「◯◯大学に現役合格をし、絶対に物理学者になる」と高らかに叫びましたね。一つ目の夢は叶いました。君もよく知るところです。詳細は言いませんが、君が叫んだその言葉が枷になり、かなり苦しんでいます。調子にのって余計なこといいやがって。しばらく気づいていませんでしたが、僕はアイデンティティを「物理をしている自分」もしくは「何かに向かって努力する自分」に求めていたらしいのです。今の僕は、何を目指せばいいのかわからくなってしまいました。

 

教えて下さい。今、人生で一番希望に満ち溢れた君は、どんな夢を持っていますか?どんな未来を描いていますか?大事なものは何ですか?好きなことは何ですか?譲れないものって何ですか?君が当たり前に抱いていたものが、今の僕にはわからないのです。時の流れは残酷で、4年間という時は人間の考えをそれなりに変えてしまうようです。考えても、考えても、何をしたら幸せになれるのか、そもそも僕はどんなことが幸せなのか、わからないのです。

捲し立てるように質問を投げかけてしまってごめんなさい。希望に溢れる君にこんな話をしてしまってごめんなさい。でも、それくらいに悩んでいるのです。

もし余裕があれば、今の君のお話を聞かせてください。僕はもう、昔のこと(卒業パーティーのことさえも!)は忘れてしまいました。歳ですね。

 

また進展があったら、お手紙を書きます。残り少ない離島ライフを楽しんでください。

機会があればいつか、海の見えるあの丘でゆっくりお話をしましょう。福岡の方ね。

それでは、また。

 

追伸

先史学入門は履修するな。