空が白む時間、そのちょっと先。
窓の外から、駐車場の車のエンジン音が聞こえる。
瞬きする度に張り付くような乾いた眼球で、今日も夜を越えてしまったことを確認する。
光る画面に表示された数字は、既に6時を過ぎたところだった。
夏休みの最終日でもなければ、留年をかけた考査の当日でもない。
何の目的意識もなくただ、だらだらと布団の中で一人の時間を過ごしている。
こんな堕落した大学生活を送るはずじゃなかったのになぁ、といつも通りの後悔をリピートする。
今日も何の予定もない、このまま自然に眠れるまで起きていようか、それとも無理矢理にでも目を閉じておけば眠れるだろうか。
毎朝、問いも答えもない問答を繰り返す。
そんな一人だけの試合に、ゲームセットの合図が鳴る。
『おはよう』
『もう起きてる?』
すかさず返信する。
『今日もダメだった』
『おやすみ』
その返信を確認して、スマホを置く。
『(笑)』
『いい夢見てね』
『おやすみ』
眠らない体を願った夜は幾度あれども、夢想の世界の希望は捨てられない。
今日もいい夢が、君の夢が見れますように、そう願って静かに目を閉じた。